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うつ病で長く苦しんでいる方へ『慢性うつ病は必ず治る』

服薬と休養で半年から1年あれば治ると言われるうつ病ですが、実は1割強は慢性化するとされています。症状が3年以上続く、または再発を3回以上繰り返す「慢性うつ病」はなかなか治らず、ずっと薬を飲み続けるのかと希望を失っている患者さんが多いと言われていますが、諦める必要はありません。現実を直視し、抑えられてきた怒りや悲しみの感情を開放すれば、慢性うつ病はかならず治ると確信できる本に出会いました。幻冬舎新書の「慢性うつ病は必ず治る」(緒方俊雄著)です。事例が多くて分かりやすい本ですが、今回は私の視点から要点をご紹介したいと思います。

落ち込みとうつ病とどこが違うか?

うつ病は気分が落ち込む病気ですが、どんな人でも仕事に失敗したり、恋人に振られたりすれば気分が落ち込みます。この気分の落ち込みとうつ病の違いは何でしょうか?

うつ病抑うつ気分(気分の落ち込み)だけでなく、夜寝られなくなったり、気力が減退したり、集中力が低下したり、食欲が減退したりという症状が2週間以上続くとうつ病と考えられます。(本書では大うつ病の診断基準としてDSM-IVーTRの9つの症状を掲載していますが、最新の診断基準による診断をするのは医師の仕事です。上記のようないつもと違う状況が2週間以上続いたら医師に相談してみましょう。)うつ病心の風邪と言われていますが、この本では単なる風邪といった生易しい病気ではなく、心の肺炎、心の結核と例えるべきだと言っています。以前私のブログで紹介した下園壮太氏の著作でも、うつ病は「心の骨折」と表現していました。最近は良い抗うつ薬が開発され、自分にあった薬を適量飲んでしっかり休むことができれば、9割以上の人は3~6ヶ月でよくなります。しかし下記に述べるような一部の人は短期間では軽快せずに、慢性化してしまいます。

慢性うつ病とは

この本では1回の1年以内のうつ状態だけで治り、その後再発しない事例を「軽いうつ病」、1年以上長期化したり、その後再発した事例を「重いうつ病」、思いうつ病の中でも3年以上長期化したり3回以上再発した事例を「慢性うつ病」と定義しています。

そして肝セリング回から10回程度で終了することができた軽いうつ病の事例を3例ほど紹介したあと、慢性うつ病が治っていった事例を数例紹介しています。そして経験から慢性うつ病の人の特徴を、躁状態が現れることが多く、また「依存型」の人が慢性化しやすいとしています。

 慢性うつ病はどういう経過で治るのか?

この本では著者の豊富なカウンセリング経験から慢性うつ病からの回復のポイントを次の4つの段階を経ることだと紹介しています。

  1. 「人間関係の構築」
     まず、カウンセラーを信頼してもらうこと。このカウンセラーには何を話しても安心だと信頼してもらうことが最初のステップです。
  2. 「悲しみと怒りの感情の表出」
     人間関係で傷つきやすい依存型の人の強い悲しみの感情や他人から都合良く扱われたりして抱いた強い怒りの感情は無意識に抑圧されています。この感情を表に出すことが必要です。一度思いっきり泣いたり、怒りの感情を表出することが大切なステップとなります。
  3. 「慢性化させている要因の受け入れ」
    カウンセリングを行っている中で自然とわかってくることが多い慢性化させている要因を一つ一つ時間をかけて取り上げて直面し、徐々にそれを受け入れることで心を開放していきます。
  4. 「脅迫的な考えの消失」 
    最後に、「頑張らなければならない」や「完全にしなくてはならない」という鬱病の人独特の脅迫的な考え方を変えていくことが、再発防止には大切です。

これらの4つのステップを踏まえて「もう大丈夫」という実感を得ていけるようになるのです。

 

最後にカウンセリングが終わりに近づくと、辛いだけだと思っていただけのうつ病が自分の人生を見直すチャンスとなり、人生に対する考え方が変わってきたことがわかってうつ病になったことに感謝することもあるとのことです。

慢性化したうつ病で長年苦しんでいる方も、是非あきらめないでまずはこの本を読んで慢性うつ病もかならず治るんだということを信じてもらいたいと思います。

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